何とかT先生にも理解していただいて、ヨシオはほっとした。
いよいよ運搬準備だ。
再びペンプロッタを梱包し直し、さらに事実上殆ど使用されていなかったであろう Commodore 64も元箱に梱包した。
「それでは運搬の手配をしてきます。」 (ヨシオ)
20分後、ヨシオは研究室に戻ってきた。
T先生とヨシオは、大きくて重い段ボール箱を地質学科の裏口へ運んで行った。 T先生は段ボール箱を担ぎながらヨシオに訊いた。
「運送屋でも頼んだのか?」 (T先生)
「いえ。 裏口に着けばわかります。」 (ヨシオ)
裏口はT先生の研究室から最も遠いところにある。
2人はふぅふぅ言いながら、裏口に辿り着いた。
「それじゃ先生。これに乗せてください。」 (ヨシオ)
「えぇーっ...これかぁ!」 (T先生)
そこには1台の古びたリヤカーが置いてあった。
リヤカーの金属部分は錆だらけの状態だ。 このリヤカーは、ヨシオがカワイ先輩に頼み込んで天文部が 古くから所有しているものを借りてきたのだった。
今にも朽ち果てそうな天文部のリヤカーは、ヨシオに引かれてノロノロと進む。 その車輪からは、赤錆がぱらぱらとを撒き散らかって路面を汚していた。 しかし、その積荷たるや、人類の英知が齎した最先端技術の結晶が2品である。
「ヨシオーっ! 頼むぞーっ! 3月中には仕上げてくれよ~!」 (T先生)