我が青春のコンピュータ


32 はじめてのパソコン4

何とかT先生にも理解していただいて、ヨシオはほっとした。

いよいよ運搬準備だ。

再びペンプロッタを梱包し直し、さらに事実上殆ど使用されていなかったであろう Commodore 64も元箱に梱包した。

「それでは運搬の手配をしてきます。」 (ヨシオ)

20分後、ヨシオは研究室に戻ってきた。

T先生とヨシオは、大きくて重い段ボール箱を地質学科の裏口へ運んで行った。  T先生は段ボール箱を担ぎながらヨシオに訊いた。

「運送屋でも頼んだのか?」 (T先生)

「いえ。 裏口に着けばわかります。」 (ヨシオ)


裏口はT先生の研究室から最も遠いところにある。

2人はふぅふぅ言いながら、裏口に辿り着いた。

「それじゃ先生。これに乗せてください。」 (ヨシオ)

「えぇーっ...これかぁ!」 (T先生)

そこには1台の古びたリヤカーが置いてあった。

リヤカーの金属部分は錆だらけの状態だ。  このリヤカーは、ヨシオがカワイ先輩に頼み込んで天文部が 古くから所有しているものを借りてきたのだった。


今にも朽ち果てそうな天文部のリヤカーは、ヨシオに引かれてノロノロと進む。  その車輪からは、赤錆がぱらぱらとを撒き散らかって路面を汚していた。  しかし、その積荷たるや、人類の英知が齎した最先端技術の結晶が2品である。

「ヨシオーっ! 頼むぞーっ! 3月中には仕上げてくれよ~!」 (T先生)