我が青春のコンピュータ


8 当時の学生のスキル

PC-1211の外箱と取扱説明書

測量学の授業は2日目を迎えた。

昨日の夜遅くまでの頑張りとカルチャーショックで、学生は皆少しやつれた感じがする。  取りも直さず、教えてくださった先生が一番お疲れだったかもしれない。

授業の冒頭、先生はおもむろに次のように切り出した。

「皆さん昨日は大分頑張りましたね!  ...ところで提案なんですが、測量学の勉強はこの位にしておいて、残りはコンピュータを勉強してみませんか?」

教室内に一瞬沈黙が走ったが、その後は盛大な拍手が巻き起こった。

「それでは始めますけど、皆さん関数電卓は買ったばかりのようですね?  付属品やマニュアルは持ってきていますか?」

(まにゅある...?何だ?それは?...<(?_?)>ヨシオ)

「先生スイマセン!マニュアルって何ですか?」

質問したのはヨシオではなくて他の学生だ。

(あぁ良かった!他にも知らないヤツがいるんだ!)

「マニュアルとは取扱説明書のことです。 持ってきてるかな?」

...持ってきている訳が無い! 結局全員が一度下宿に帰って付属品やマニュアルを持って、1時間後に集合することとなった。



携帯用の算盤(ソロバン)

今では笑い話のようだが、当時、大学に入学するまで電卓すら触ったことが無い者もいたのである。

商業高校では珠算検定 3級以上の取得を卒業の要件に定めているところもあった。

大学生協では携帯用の算盤(ソロバン)も販売されていた。

計算尺

数学に関心のある学生でも高度な計算を行うのに 自然対数表計算尺を 用いていた時代である。

コンピュータの知識など、入学したばかりの学生にあろう筈も無い。

まず第一に、その頃の高等学校や一般家庭には、コンピュータなど1台もなかったのだ。