我が青春のコンピュータ


4 プログラムを書く

PC-1211のカタログ

1日目の授業が終了した。

終わり際に先生が「どうだい皆、これから少しコンピュータについて教えてあげようか?」と持ち出した。

先ほどの衝撃が生々しかった学生たちは思わず皆、首を縦に振った。 教室は即席のコンピュータ教室となった。

「電卓は数値と演算子を入力して答えを表示するだけだが、 コンピュータは計算式そのものを入力してそれを実行させるんだよ。  実行に必要な計算式や手順のことをプログラムと言って、 その書き方はあらかじめ決められているんだ。」

学生たちは興味津々と先生の話に耳を傾けている。

いくら説明してもピンと来ないだろうから、ちょっよプログラムを書いてみよう。  幸いなことにこの教室にはポケコンを持ってる人がいるね!

(そうか...ポケットコンピュータのことをポケコンって言うんだ...ヨシオ)

先生はヨシオの方を一瞥して話を続ける。

「ヨシオ君と言ったっけ? それちょっと貸してね!」

先生はヨシオのポケットコンピュータを預かると、それを皆の見える位置に掲げて説明を続けた。

「まずプログラムを書く場合、このポケコンではMODEキーを押してプログラムモードにしておくようだね。  これで準備完了だ。 じゃあこれからピタゴラスの定理を計算するプログラムを書いてみるね。よく見ててよ...」

液晶に表示された文字を見ても何がなにやら訳が分からない。  学生たちは皆きょとんとした面持ちで先生の入力作業を見守るだけだ。

「さあ10行目の入力が終わったからENTERを押して記録させるよ。」

(1行しか打っていないのに10行目って...どういうこと(?_?) ...ヨシオ)

その後、先生は立て続けに何行かの文字をポケットコンピュータに打ち込んでいった。

「さあ全部打ち込んだぞ! それでは今打ち込んだ内容を前に書いてみるよ。皆もノートに書いてみてごらん。」

先生は黒板に向かってチョークでプログラムを書いてくれた。

10:INPUT "A=",A
20:INPUT "B=",B
30:LET C=√(A*A+B*B)
40:PRINT "C=",C